少年期(密漁)

  疎開先は大津市石山南郷町というが、南郷という所には琵琶湖の水量を調節する「洗い堰」と
いうものがあった。堰の上と下では水量が全く違い、2種類の漁業?が行われていた。

  上手ではプロの漁師が”投網漁”で小魚を獲り、近隣の料理旅館へ卸していた。そして下手が
我々アマチュアの漁場となる。 普通の釣りもあったが、少し変わったのを紹介する。

1、カーバイド漁
  ”カーバイド”という鉱石があり、これに水をかけると”アセチレンガス”というものが発生する。
  このガスは燃えるくらいだから、相当の高熱を出すし、灯りにもなる。
  初めの内は夜中に灯りとして利用し、大型の銛で安眠している鯉や鮒や鯰を突き刺すという
  かなり乱暴な漁?をしていた。
  しかしこれでは眠いし量的にも捗らないので、大川へ注ぎ込む小川を堰き止めてカーバイドの
  塊をぶち込むという凶悪な漁へ進化した。 小魚しか取れないが、大漁は間違いなかった。

2、電気漁
  カーバイド漁は汚れや臭いが残り、ヤバイということになり、次に登場したのが”電気漁”である。
  これは農作業用のディーゼル発電機をこっそり寸借してきて、端末を水の中へぶち込むという
  極悪非道な虐殺であった。
  痺れてプカプカ浮いてくるのを”手掴み”するのだから、こんな楽なことはない。ウナギなんぞは
  棒状になっておった。

3、流し釣り
  これは夕方に、”20メートルくらいのタコ糸”に”2メートル間隔に針”を付け、”ミミズ”を餌にして
  岸辺に流しておくのである。
  そして翌朝その糸を回収にいくと、ウナギやナマズが掛かっている。 この漁の難儀なのは魚が
  護岸の石垣の隙間に入り込んでおり、引っ張り出すのが並大抵でなかった。

  私の主題歌はいまでも「ふるさと」である。 ”兎追いし彼のやまぁ〜小鮒釣りぃし彼のかわぁ〜”
このメロディを聞くと目頭が熱くなる。 私の「今生の原点」がこの頃に育まれたと信じている。
10年もの疎開生活がなければ・・・と思うとき、あの馬鹿げた戦争も人生の大きな分岐点であった
ことを宿命的に受け止めている。 でも戦争は絶対にダメ! 憲法9条はかなり賛成!

  嫌でも拍手を・・・          ふるさとの祭囃子も絶えて過疎       僕の細道 by 真照 

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